冬になると入浴中やトイレで亡くなられるニュースが目に留まります。先月も俳優の平幹二郎さん(82歳が)お亡くなりになられたニュースがありました。死因は「ヒートショック現象」ではないかと推測されています。ヒートショックとは、急な温度差により血圧が急変することで、脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こす症状です。冬の入浴中に多く発生する突然死です。
厚生労働省の調査では、年間の死亡者数は実に19,000人以上にも上る決して少なくない死亡原因のひとつです。その内約5割が寒さの厳しい12~2月に発生しています。交通事故の年間死亡者数約4,000人と比べるとその差はなんと4倍以上。ヒートショックが原因の死亡者数は、
全国で毎日100人以上(12~2月の3か月間平均)
都道府県毎に毎日平均2~3人の方がヒートショック現象が原因で亡くなるっていることになります。そう考えると少なくもないと感じます。今回はヒートショック現象を回避するための対策についてご紹介します。
目次
ヒートショックの原因・メカニズム
急な温度変化により血圧が上がると心筋梗塞、脳梗塞、血圧が下がると失神などを起こす事ことがあります。このように急な温度変化により身体に悪影響をもたらすのが「ヒートショック現象」です。
入浴中に起きる血圧の変化
- 暖かいリビング ⇒ 寒い脱衣所・浴室 = 血圧☝上がる
- 寒い脱衣所・浴室 ⇒ 熱い風呂 = 血圧 ☟下がる
- 熱い風呂 ⇒ 寒い浴室・脱衣所 = 血圧☝上がる
最も多いのが入浴中。急な温度変化で、急激に血圧が上下して心拍数は上がります。熱い湯船に浸かって血圧が下がると失神して溺死、寒い脱衣所・浴室で血圧が上がると脳出血、脳梗塞などの脳卒中、心筋梗塞などが引き起こされる訳です。
※ 脳卒中 → 脳出血(脳内出血、クモ膜下出血)、脳梗塞(脳血栓、脳寒栓)
ヒートショック現象を誘発する場所・行為
冬の入浴中に限ったことではなく、温度変化のある場所ではヒートショック現象の可能性ははあります。
- 寒いトイレでいきむ
- 寒い場所の寝起き
- 飲酒後の入浴
- サウナ・熱い風呂のあとに水風呂に入る
- 真夏に冷蔵・冷凍庫などの作業
- エアコンの効いた屋内から外出、またはその逆 etc.
浴室に限らず急な寒暖差がある場所ではヒートショック現象を引き起こします。以前、アイス工場の従業員から「冷凍庫の作業を長年すると短命になる」と聞いたことがあります。冷凍庫の作業は防寒着を着ても長時間行えない為、-20°の冷凍庫で10分作業 ⇒ 20°以上の場所で5分休憩、これをひたすら繰り返します。ヒートショック現象が日常で繰り返されるわけですから納得できます。
また、「寒いトイレでいきむ」のように、寒い場所で” いきむ”ことで血圧が急激に上がります。同じように重いものを持ち上げるなどの作業も血圧上昇を招くので、寒い場所での作業には注意が必要です。
ヒートショックを起こしやすい人
動脈硬化、高血圧、不整脈、糖尿病など
血圧の変化が原因であることから、血液、血管に疾患をお持ちの方はヒートショック現象を起こしやすくなります。これらの疾患が最もあてはまるのが世代別でいうと高齢者にあたります。死亡者数の残り1割は高齢者以外の方で、大半を占めるのが45~65歳の中年層。高齢者に限らず、疾患をお持ちの方は注意が必要です。
高齢者
ヒートショック現象が原因で死亡する人の約9割が65歳以上の高齢者。特に75歳以上の層は過去10年間で約2倍に増加しています。高齢になるほど動脈硬化になりやすく、心臓から全身に血液を送る動脈が硬くもろく弾力性が低下。この状態で血圧が上がると血管が破れて出血するリスクが高まり、脳卒中、心筋梗塞などが引き起こされるわけです。
ヒートショックを回避するための対策
- 脱衣所、浴室を温めておく。脱衣所にエアコンがない場合は小さなヒーターなど。浴室は風呂釜を開ける、温水シャワーをかけるなど。特に一番風呂は浴室が温まっていないので注意。
- お風呂の温度を熱くしない。41℃まで。急に肩まで浸からず、半身浴から徐々に浸かって慣らしていく。
- トイレなど利用回数が比較的多い場所は、暖房器具を活用して寒暖差を緩和させる。
- 起床時はエアコンのタイマーなどを活用して、布団の中と室内温度の寒暖差を緩和させる。
- 寒いときに急に立ち上がらない。
- 外出の際は、外気と室内の温度差を緩和させる防寒をする。
理想はエアコンで家中の温度を一定に保てば良いですが、なかなか一般家庭ではそうもいきません。脱衣所やトイレなどは専用の暖房器具を活用して、ヒートショック現象を未然に防ぎましょう。
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